人生100年時代を迎え、私たち熟年世代の関心は日々の暮らしの質へと深く向かっています。
中でも、長年連れ添った住まいは、これからのセカンドライフを快適に、そして自分たちらしく過ごすための大切な拠点。子育てを終え、定年退職を迎える今、「このままでいいのかな?」と、住まいについて考え始める方も多いのではないでしょうか。
選択肢は大きく分けて2つ。
愛着ある家をリフォームして住み続けるか、あるいは新たな生活スタイルに合わせて住み替えをするか。
どちらの選択も、これからの人生の質を大きく左右する重要な決断です。
今回は
それぞれのメリット・デメリットを比較しながら、熟年世代が心地よい暮らしを実現するためのヒントを探っていきたいと思います。
熟年世代の多数派は「リフォーム」を選びたい?住まいに関する意識調査
実際に熟年世代が「リフォーム」と「住み替え」のどちらを検討しているかという、興味深い調査結果があります。
株式会社ハルメクホールディングスが2023年に実施した「シニアの『住まい』に関する調査」によると、「死ぬまでずっと今の住まいに住み続けたい」と回答したシニアは半数を超え53.0%に上ります。
また、今後の住まいに関する意向では、「住宅リフォームをしたい」と考えている人が28.2%(約3割)いるのに対し、「住み替えをしたい」と考えている人は14.6%に留まります。
過去に住み替えを経験した人が47.7%いることを踏まえても、現状では「住み慣れた場所で、必要に応じて家を改修して暮らしたい」という意向を持つ熟年世代が多いことがわかります。
このデータは、多くの熟年世代が、まずは住み慣れた家や地域での生活を継続し、その中でより快適な環境をリフォームで手に入れることを優先している傾向を示しています。
愛着ある家を「リフォーム」する:住み慣れた場所で安心を追求
長年暮らした家には、家族の思い出が詰まっています。住み慣れた地域や人間関係を維持しながら、現在の住まいをより快適にするのがリフォームの魅力です。
メリット
・住み慣れた環境を維持できる: 地域コミュニティとのつながりや、かかりつけ医、行きつけのお店など、これまでの生活を大きく変える必要がありません。
・思い出が詰まった家を活かせる: 建て替えと異なり、家の骨格や一部を残しつつ改修できるため、愛着のある家で暮らし続けることができます。
・費用を抑えられる場合も: 全面的な住み替えに比べて、リフォーム内容によっては費用を抑えられる可能性があります。必要な部分だけを改善できるため、予算をコントロールしやすいのも特徴です。
・「終の棲家」として最適化: バリアフリー化、ヒートショック対策のための断熱改修、生活動線の見直しなど、高齢期を快適に過ごすためのカスタマイズが可能です。
デメリット
・根本的な問題解決には限界があることも: 構造上の問題や、老朽化が激しい場合は、リフォームだけでは解決が難しいケースもあります。
・工事中の仮住まいが必要な場合も: 大規模なリフォームの場合、一時的に仮住まいが必要になることがあり、その分の費用や手間がかかります。
・資産価値の向上に直結しないことも: リフォームの内容によっては、必ずしも家の資産価値が大きく向上するわけではありません。
新しい生活を始める「住み替え」:変化を楽しみ、新たなステージへ
定年を機に夫婦二人暮らしになったり、子世代との同居を考えたりと、ライフスタイルの変化に合わせて住まいを大きく変えるのが住み替えです。
メリット
・ライフスタイルに合わせた住まいを選べる: 夫婦二人暮らしに最適なコンパクトな住まい、都市部の利便性の高いマンション、あるいは介護サービスが併設された高齢者向け住宅など、選択肢が広がります。
・バリアフリーや最新設備が充実した住まい: 新築や築浅の物件であれば、最初からバリアフリー設計になっていたり、最新の省エネ設備が導入されていたりすることが多いです。
・資産整理ができる: 不要なものを整理し、身軽になる良い機会にもなります。また、古い家を売却することで、まとまった資金を得られる可能性もあります。
・新たな環境での出会いや刺激: 新しい土地での生活は、新しい友人やコミュニティとの出会い、未知の体験など、新鮮な刺激をもたらしてくれます。
デメリット
・費用が高額になる傾向: 物件購入費用に加え、引っ越し費用、不動産売買手数料など、多額の初期費用がかかることが一般的です。
・環境の変化によるストレス: 長年住み慣れた場所を離れることで、人間関係の再構築や新しい生活リズムへの適応に時間や労力がかかる場合があります。
・物件選びに労力がかかる: 希望に合った物件を探すために、多くの情報収集や内覧が必要となり、体力や精神的な負担がかかることがあります。
あなたの「人生100年時代」に最適な選択は?
リフォームと住み替え、どちらの選択にもそれぞれの魅力と課題があります。
調査ではリフォーム意向が多数派でしたが、最終的にどちらが自分たちにとって最適かは、夫婦でじっくりと話し合い、これからのライフプランや大切にしたい価値観を明確にすることが最も重要です。
・どんな暮らしがしたいのか? (趣味の充実、孫との交流、社会貢献、静かな暮らしなど)
・健康状態や将来の不安は? (バリアフリーの必要性、医療機関へのアクセスなど)
・経済的な状況は? (リフォーム費用、住み替え費用、老後資金との兼ね合いなど)
・地域や人間関係へのこだわりは? (今の場所を離れたくない、新しい刺激が欲しいなど)
これらの問いに向き合うことで、自ずと最適な道が見えてくるはずです。
まとめ
「人生100年時代」は、私たち熟年世代がこれからの人生を自分らしくデザインできる素晴らしい機会です。住まいの選択は、そのデザインの重要な要素の一つ。
「住み慣れた場所で思い出を紡ぎ続けたい」とリフォームを選ぶ人もいれば、「新しい環境で刺激を受けながら、新たなステージに進みたい」と住み替えを決意する人もいます。
どちらの選択も正解であり、そこに優劣はありません。大切なのは、社会の常識や他人の意見に流されることなく、夫婦二人が心から納得し、笑顔で暮らせる「自分たちらしい住まい」を見つけることです。
ぜひ夫婦で納得のいくまで話し合い、心豊かで快適なセカンドライフを築いてくださいね。
《編集後記》
私は今のところ『住み替え』かな?
数年単位で小さなアパートを借りて日本全国を転々とする~
なんか楽しそうじゃないですか?
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