何かの匂いを嗅いだ瞬間、過去の思い出が蘇ってくることはよくある。
海辺で潮の香を嗅いだ瞬間、小さいころに行った海水浴。
実家の玄関ドアを開けた瞬間漂ってくる匂いは、そこで過ごした日々を蘇らせてくれる。
「匂い」が、私たちの脳に特別な意味を持っていることをご存知だろうか?
嗅覚は、五感の中で唯一感情を司る大脳の海馬という部分に直接繋がっているらしい。
そのような脳のメカニズムもあり、匂いは記憶と深く結びついていて、特定の匂いが思い出を呼び起こす不思議な力を持っている。
これを『プルースト効果』という。
フランスの作家マルセル・プルーストの小説「失われた時を求めて」の中で、主人公がマドレーヌを紅茶に浸した時の香りで幼少期を思い出す~このシーンがもとになっているとのこと。

私は小学生の頃、新学期にもらう新しい教科書の匂いを嗅ぐのが好きだった。
教科書を広げ、顔をうずめてクンクンやっていた。
今でも新しい本を買うと匂いを嗅ぐ。
その瞬間に小学生の頃の~新学期、ドキドキワクワクしながら座っていた~教室が蘇る。
また、認知症の人に過去と繋がりのある匂いを嗅がせると、今まで思い出せなかったことが蘇ってきたという事例も報告されている。
匂いは、私たちの記憶の奥深くに刻まれているのだ。
大阪産業大学の山本准教授らが行った『日本のノスタルジアを喚起させる匂いの研究』では、20代と70代の計400名に「何の香りや匂いに懐かしさを感じるか」を訪ねてある。
その結果、20代で最も懐かしさを感じる香りは『線香、畳、タンス』
70代では『母、畳、赤ちゃん』
そして、20代70代ともに上位に挙がっているのが『キンモクセイの香』

我が家の庭にもキンモクセイがある。
秋になると甘い香りが漂ってくるが、確かにどこか懐かしさを感じる。
小さいころの実家の風景。
学生時代の校庭の風景。
そして、夫の実家の庭に植えてあった大きなキンモクセイ。
今は亡き両親だが、キンモクセイの香りを嗅ぐと、我が子を連れて里帰りしていた時の様子が鮮明に思い出される。
道を歩いていても、どこからともなく漂ってくるのがキンモクセイの香。
どこからともなく~そう!どこにあるのかわからないが、存在感だけは半端ない。
最近夫が何か匂う。
いや、こっちの『臭う』だ。
何とも表現しづらい、カサカサした臭い。
先日テレビを見ていたら、加齢臭は『枯草のニオイ』と表現されていた。
これで合点がいった。
紛れもなく『加齢臭』だ。
確かに以前嗅いだことのあるようなニオイだが、キンモクセイのようにノスタルジアは喚起させられない。
はっきり言って不快だ。
と言いつつ私は
お風呂で入念に体を洗うようになった今日この頃である。
恐るべきニオイパワー!
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