「人生100年時代」の新しい夫婦の形:熟年世代のマッチングアプリと卒婚に見る「個」の追求

コラム
当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。

私事だが、卒婚して8年が経った。
夫とは今も、程よい距離感を保ちながら生活している。

経験者としての視点から、現代の「新しい夫婦の形」について探ってみた。

かつて「夫婦とはこうあるべき」という固定観念が強かった日本社会。

しかし、「人生100年時代」を迎え、熟年世代の生き方や夫婦関係のあり方は大きく変化している。

子どもが独立し、定年退職を迎えることで、夫婦二人きりの時間が増える中で、これからの人生をどう生きるか、どんな関係性を築くかという問いに直面する熟年世代が増えているのだ。

この変化の中で注目されているのが、熟年世代のマッチングアプリ利用の増加と、「卒婚」という新しい夫婦の形

一見すると、新たな出会いを求めるマッチングアプリと、夫婦関係の再構築とも言える卒婚は、相反する選択肢のように思えるかもしれない。

しかし、これらは根底に「残りの人生を自分らしく、より豊かに生きたい」という、熟年世代の強い「個」の追求がある点で共通している。

 




熟年世代に広がるマッチングアプリ利用のリアル

かつて若者のものと思われていたマッチングアプリが、今、熟年世代にも急速に広がっている。

MMD研究所の調査によると、50代で19.3%、60代で13.1%がマッチングアプリの利用経験があると回答している。

また、フラー株式会社の調査では、50代以上の男性の出会い系マッチングアプリ利用率が、この3年間でなんと13.8倍に増加したという驚きのデータもある。

リクルートの婚活実態調査2022では、アプリ等を利用したことがない方の約3割が今後の利用を前向きに検討しているという結果も出ており、今後もこの傾向は加速すると予測されている。

 




なぜ、熟年世代にマッチングアプリがこれほど広まっているのだろうか?

  • スマートフォンの普及と操作への慣れ: デジタルデバイスに抵抗のない世代が増えた。
  • 出会いの場の減少: 職場や地域コミュニティなど、自然な出会いの場が減っている。
  • 「人生まだこれから」という意識の変化: 定年後の長い人生を一人で過ごしたくない、新たな刺激を求めるという能動的な気持ちが高まっている。
  • 手軽さと多様な出会いの機会: 匿名性があり、自宅で気軽に様々な相手と出会える利便性がある。

再婚や恋人探しだけでなく、共通の趣味を持つ友人探し、旅行仲間探しなど、その目的は多様化している。

マッチングアプリは、既存の人間関係に縛られず、新たな「繋がり」を主体的に求めるためのツールとして、熟年世代に受け入れられているのだ。

これは、自身の「個」の充実を外部に求める動きと言えるだろう。

 




「卒婚」という新しい選択肢:夫婦関係の再定義

一方で、夫婦関係を維持しつつ、それぞれが自由に生活する「卒婚」という選択をする熟年層も増えている。

前述したとおり、私が卒婚して8年が経った。
お互いの家を行き来しながら自由に暮らしているが、いつまで続けるのだろうという思いが時々頭をよぎる。

法的な手続きを伴う離婚とは異なり、戸籍上の婚姻関係は残したまま、夫婦が物理的・精神的に距離を置き、それぞれの生活を尊重し合うのが卒婚。近年、熟年離婚が増加傾向にあることはご存じの方も多いだろう。

FNNの記事によると、50代以上の離婚が全体の約3分の1を占め、結婚期間20年以上の離婚も増加し、2022年には過去最高を記録している

卒婚に関する具体的な統計はまだ少ないものの、熟年離婚の増加や、夫婦のあり方に対する意識の変化から、卒婚を選択する夫婦も水面下で増えていると考えられる。

卒婚を選択する背景には、主に以下のような理由がある。

  • 子どもの独立と定年退職: 子育てや仕事という共通の目的を終え、夫婦それぞれの価値観のズレが顕在化しやすくなる。
  • 「自分らしく生きたい」願望の顕在化: 長年の結婚生活に疲れや閉塞感を感じ、残りの人生はもっと自由に生きたいと願う気持ちが強まる。
  • 女性の経済的自立: 女性が経済的に自立しやすくなったことで、夫婦関係の解消に踏み切りやすくなった。

 




卒婚のメリットは、法的な手続きが不要で、戸籍変更の手間がないこと、生活や経済的安定を維持できること、相続権が継続すること、そして世間体を保てることなどが挙げられる。

一方で、再婚ができない、恋人ができた場合に不貞行為となる可能性、扶養義務が継続する、病気や怪我の際に助け合えるのかといった不安も存在する。

卒婚は、夫婦関係を維持しつつも、束縛から解放され、それぞれの「個」の生活を確立しようとする動き。これは、自身の「個」の充実を夫婦関係の再構築に求める動きと言える。

一見相反する二つの現象が示す現代の熟年世代

マッチングアプリでの新たな出会いを求める動きと、卒婚による夫婦関係の再定義は、一見すると異なるアプローチに見える。

しかし、これらは共に「個人の幸福」を追求する現代の熟年世代の姿を映し出している。

共通しているのは、従来の「夫婦はこうあるべき」という固定観念からの脱却だ。

社会が多様な価値観を容認するようになった現代において、熟年世代もまた、社会の常識や「こうあるべき」という圧力よりも、自身のQOL(生活の質)を優先するようになったと言えるだろう。

・マッチングアプリ利用は、 今ある関係性(夫婦関係)に満足していない、あるいは新たな刺激を求め、積極的に外の世界へ踏み出すことで「個」の充足を図ろうとする動き。

・卒婚は、 夫婦としての義務や役割から解放され、より個人としての時間を重視し、関係性を完全に断つ「離婚」ではなく、互いを尊重しつつ距離を置くことで「個」の充足を図ろうとする動き。

長寿化、少子高齢化、そして社会全体の価値観の多様化が進む中で、熟年世代は、自分らしい生き方を模索し、それに合った関係性を自ら選択する時代に入っている。

 




まとめ:熟年世代が切り拓く、多様な「個」の幸福の形

熟年世代の生き方や夫婦関係の選択肢は、かつてないほど多様化している。マッチングアプリでの新たな出会いも、卒婚による関係性の見直しも、その多様な選択肢の一つに過ぎない。

大切なのは、自分自身の幸福を考え、パートナーがいる場合はしっかりと話し合い、お互いが納得できる選択をすること。

あなたにとっての「人生100年時代」の理想の形とは何ですか?

この記事が、熟年世代の皆様がご自身のこれからの人生や夫婦関係について考えるきっかけになれば幸いです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました