老いて再び稚児になる(おいてふたたびちごになる)

コラム
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先日、夫と山登りをした。
約1年ぶりの登山だ。

数回登ったことがある山で、往復3時間といったところだろうか。

初心者でも登れるが、所々に岩をよじ登るような踏ん張りどころが出てくる。

冬場の曇り空ではあるが、さすがに上りは汗をかく。

ハァハァ、ハァハァ言いながら必死で登る。

あれっ、前もこんなにしんどかったっけ?

 




頂上の景色はいつ見ても絶景だ。

今までの苦労が報われる。

絶景を見ながら食べるコンビニおにぎりも、これまた絶品だ。

山のイラスト

登山とは不思議なもので、休憩した後の動き始めは体や脚が重たい。

夫が、やや急な下り坂をひょいひょいと下って行った。

私もつられてひょいひょいと下りて行ったら

最後の段差で着地した脚の踏ん張りがきかず

見事にこけた!

こけたというよりも転がった。

おそらく一回転だったと思うが、まるでスローモーションだった。

 




夫は

指を金槌で打っても
指をドアに挟んでも

痛いと言わない。

なぜ痛いと言わないのかと問うと

「痛いと言ってもいっしょでしょ」と返ってくる。

そんな夫が笑いながら、ここぞとばかりに反撃してきた。

「黙ってこけたよね。人には言えないよね。」と。

そんなはずはない。

転がる瞬間、こっちを振り向く夫の顔が見えた。

何もなければ振り向くはずがないのだ。

きっと「ウッ!」とか「ヒャッ!」とか、何かしら言っているに違いない。

両方の膝っ小僧を見事に擦りむいた。

 




『老いて再び稚児になる(おいてふたたびちごになる)』ということわざがある。

年をとると、理解力や判断力が衰えて子どもに戻ることをいう。

だが、理解力や判断力ばかりではない。

年をとると髪も薄くなり歯も段々と少なくなる。もしかすると歩くことすらままならないかもしれない。

赤ちゃんと一緒だ。

先日会った孫は、膝を擦りむいていた。

今の私は3歳の孫と同じところにきているのか!?

などと

たった一回転しただけの出来事が、『老い』について考えさせられることになった。

自分でも気づかないうちに、着々と進んでいるんだな~

老人のイラスト

それにしてもだ

痛いときに思わず出てくる言葉が『痛っ!!』だ。

痛いときに「痛い」と言わなくて、一体いつ「痛い」って言うんだろう。

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